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東京理科大学 辻本研究室

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東京理科大学葛飾キャンパス 研究棟6階

統計分析DATA

火災報告

火災報告(総務省消防庁 )を利用した統計分析

上記の火災報告は、年間約5万件の火災のデータが収集されている世界で有数の詳細な火災データです。
辻本研究室では、微力ですが、これらのうち論文として公開したものも含め、その概要をこのページで順次公開していきます。

病院火災

2013年10月11日、福岡県福岡市の診療所で火災が発生し、10名の死者が発生しました。その際、義務化されていなかったとはいえ、スプリンクラーが設置されていなかったことも被害が拡大した一因と考えられています。
1994年の火災報告取扱要領の改正に伴い、初期消火装置の作動の有効性が統計上分析可能になったと判断されます。そこで今回、総務省消防庁より開示請求を行った2001年から2012年までの12年間の火災報告と死者の調査票を用い、スプリンクラー作動の実態について分析を行いました。

上のグラフが建物火災全体の経年変化のグラフです。総数は減少傾向にありますが、2007年以降、緑の「スプリンクラー設置」と紫の「スプリンクラー使用」が増加傾向にあります。これは、そもそも法改正などによりスプリンクラーの設置された建物自体が増加されたことに伴うものと考えられます。しかし、水色の「スプリンクラー初期作動」とオレンジの「スプリンクラー奏功」には大きな変化は見られません。

下の図は病院火災件数の経年変化の図です。上記の建物火災では、住宅火災も含んでいるため、スプリンクラーが設置されている建物での火災は全体の18分の一ほどですが、病院火災では約2分の一の割合です。
また、病院火災では、2005年の187件をピークに減少傾向ですが、全建物火災では見られた、「スプリンクラー設置」と「スプリンクラー使用」の増加が病院火災では傾向がみられません。

平均焼損床面積においては、3000・ス以上で且つスプリンクラーが設置されている施設では0.37・スに抑えられているのに対し、3000・ス以下でスプリンクラーが設置されていない施設では、放火・放火の疑いを含む場合でも13.5・スと約36倍に増加しています。
以上をまとめますと、3000・ス未満でスプリンクラーが設置されていない病院では火災発生頻度は低いが、一度火災が発生すると、拡大する危険性が高い傾向にあります。
また、3000・ス以上でスプリンクラーが設置されている病院では、火災発生頻度は高いが、その際の拡大の危険性は低い傾向にあります。
ここでいう「火災発生頻度」は、主に延べ床面積に依存するため、これは原理通りになります。また「拡大危険性」とは、設備設置有無に依存するためだと考えられます。


自動車火災
自動車火災は以下のグラフのように、年間約6000件発生しており、火災件数全体では減少傾向にあります。
うち、衝突による火災と考えられる火災(分類がないため、筆者の判断により取捨選択)
は、約1500件発生しており、こちらも減少傾向にあります。衝突火災はいずれの年代も車両火災全体の約4分の一を占め、割合に大きな変動は見られませんでした。
どのように火災が発生したか、という経過(原因)では、12306件中、多い順に「引火する」「摩擦により発熱する」「衝突により発火」となっていました。
上記により出火した際、何に着火したかという着火物(原因)では、「LPG(スプレー用)」「第一石油類」「電気配線類(自動車)」となっており、タクシーの燃料にも利用されているLPG、主にガソリンを含む第一石油類等、衝突の際に自動車から漏れ出た燃料に着火したものと考えられます。

バナースペース

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